マレーシアの美術家シュシ・スライマンを広島県尾道市に招へいし、創作活動を展開。スライマンは2013年より負の地域資源である廃墟を新たな視座で創作活動に結びつける活動を行なってきた。本事業は廃屋の新たな再生/転生事例となるだけでなく、マレーシアと日本古来の文化の交流や民族的ルーツに関する知見を浮上させる作品/ランドマークとなることが期待されるものである。今回スライマンがデザインし、職人が制作したマレーシアの伝統的意匠のバルコニーをマレーシアより輸送し、廃屋に設置するイベント・ワークショップを実施。マレーシアより職人チームを招き、日本側のチームと協働しつつ設置を行った。また設置状況を公開するイベントを開催。その他、廃墟の廃土を再生し、陶器やレンガとして再生するワークショップや伝統的方法で中古瓦を葺くワークショップを職人の指導のもと開催。これらの作業や技術共有を通じ、国際・地域文化交流を行うと同時に、各参加者が体験を通じて技術に対する理解を深めた。また、この度の企画でバルコニーが設置されたシドラハウスを光明寺會舘のアーカイブルームとともに一般公開。観光ルートに面しており多くの人々の目に触れることとなった。
平成29年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/pp1710/
- 関連する国/地域
- 日本, マレーシア
- 協力団体/協力者
- 光明寺會舘
- NPO法人尾道空き家再生プロジェクト
- 尾道市立大学
申請団体より
本年度事業により、念願であった、マレーシアバルコニーの設置が現実化した。プロジェクトにおける象徴的要素が実際に設置されたことで、これまでの地道な作業の積み重ねが形として現れ、一つの大きな節目となった。今回の成果を元に次の段階の作業を展開していくが、全体構想からすると道半ばであり、解決すべき課題は依然山積している。その成果の全体像を2020年、尾道市立美術館で開催予定のシュシ・スライマンの個展において発表する。展覧会時には、シドラハウスもあわせて公開。プロジェクトサイトと、美術館の両方を同時に公開することによって、新たな場所と作品の関係性に触れることができる画期的な展覧会になることが期待できる。