アジアのろうLGBTQ支援を考える ~フィリピンでの活動調査でみえたこと~
セクシュアルマイノリティ(LGBTQ)の人権については、2015年アメリカ全州で同性婚が合法化されるなど世界的に前進しており、日本でも少しずつ理解が進んでいる。しかし、同性婚は認められておらず、偏見や差別は依然存在している。こうした中で、ろう者かつ性的マイノリティ(以下、ろうLGBTQ)の人たちは、さらに困難な状況に置かれている。就労や差別はもちろん、手話通訳者の多くはセクシュアリティやLGBTQに関する知識や理解が乏しい状況にあるためだ。LGBTQに関する活動の多くは聴者そして音声言語中心に進められ、ろうLGBTQはそれらから締め出されることもある。 アメリカやカナダの大学で「ろうLGBTQ学」を修めた山本芙由美は、2014年にDeaf LGBTQ Center(大阪市)を設立したが、日本のろうLGBTQ活動はまだ発展途上にある。アジアで最初に設立されたPinoy Deaf Rainbow (マニラ) は、相談支援だけでなく、ろうLGBTQコミュニティの習性や価値観に沿ったカウンセリングなどを積極的に実施。フィリピンでの取り組みから多くの学びを得られると考えた山本は、フィリピンにおけるろうLGBTQ活動、当事者の生活・意識などを調査した。
アジア・フェロー&アジア・市民交流助成セミナー 「アジアと考える インクルーシブ社会へのヒント」 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/news/news-10/