ルソン島北部イフガオ州の棚田。美しく壮大な景観で世界遺産に指定されているが、地域の人にとって棚田での稲作は重労働。特に若者の農業離れは著しく、耕作放棄された棚田も多い。そこに暮らす人にとっては「あたりまえ」すぎる棚田と文化を、日本人の演劇ファシリテイターやアーティストによる、高校教員を対象としたワークショップを通じてもう一度見直し、棚田保全の活動に結びつけようというプロジェクト。「名人に話を聞こう」と日本で広がった「聞き書き」の手法を参考に、イフガオ州の7つの村の高校生たちが長老などに話を聞き、それをもとにモノローグを基調とした演劇作品を制作し、発表した。さらに前年に継続し、インドネシア・アチェのNGOをフィリピンに招き、異文化理解と環境保全を目的とした演劇を通した国際交流活動を山岳地方の村々で実施した。また、長野県「上田街中演劇祭」で公演とワークショップによる国際交流も行った。
(Facebook ページ) 演劇ワークショップでアジアをつなぐ https://web.facebook.com/theaterworkshopifugao/ 平成29年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1705/
- 関連する国/地域
- 日本, フィリピン, インドネシア
- 協力団体/協力者
- 花崎攝(演劇デザインギルド)
- 阿部健一(総合地球環境学研究所)
- 一般社団法人 シアター&アーツうえだ (犀の角)
- コミュニタス・ティカール・パンダン
- 直井恵
申請団体より
日本との交流は実施不可能かと思われたが、受け入れを予定してくれていた上田市の協力者の尽力により、フィリピンの教員を含む演劇ファシリテイターが訪日できたのは大きかった。上田市でのプログラムを終えた参加者が「日本の人がこれだけ懸命にイフガオの棚田の保全に関心を持ち、力を注いでくれているのに、イフガオに暮らす自分たちが行動を起こせていないことに恥じ入った」とコメントしていたが、演劇を通した国際的な交流を通し、自分たちの暮らしや文化や社会を少し引いた眼でみて、社会の変革に一役を担える人材が育っていくことが望まれる。 本年度のアチェとの交流ではムスリム社会に関する理解を深めるまでのプログラムを行うことはできなかったが、NGO関係者の訪比での経験と彼らの話から得た知識を基に、今後アジアの青少年同士の相互理解促進のためのプログラム作りを行っていきたい。