海洋アジアの世界観のさらなる探求と、その表現の追及のためのリサーチプロジェクト
これまでの活動を通して探求してきた対馬暖流域を中心とした海女や海人文化の源流ともいわれる南方の海で、フィリピン・ミンダナオ周辺の浦々を中心に訪れ、最も原始的な漁労の一つである素潜り漁をはじめ、小規模な漁撈を今現在も営むひとびとの生活現場に身を置き、海を起点に立ち現れる流動的な世界観、そのなかにある群島としての日本列島を、さらに、現在につづく人間の営みを捉えなおす試みである。 また、この日本列島に到達した初期のひとびとが伝えたとされる神話に流れる流動的な世界観を、その源流ともいえる地域・海域で今現在営まれる生を通して読み解きながら、神話を生んだ、神話の元素である、世界そのものを捉える太古の眼を想像し、現在を、時空間の閾を超えて、過去や未来から逆照射するような表現を模索する。