映画祭というライブな環境に身を置きながら、映画について思考し、執筆し、読むことを奨励するプロジェクト。プロの映画批評家を目指して活動している若手批評家に、実用的で論理的な映画批評のトレーニングを提供し、国を越えて活躍する若き批評家たちが、映画の作り手や映画祭プログラマー、また観客たちと密接に対話するなかで、感性やスキルに磨きをかけることができるような、グローバルな空間の連続性を確保することを目指している。今回は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2019およびフィリピン・ナガで開催された第12回シネマ・レヒヨンの会期中に実施。山形では1名の講師と3名の参加者、ナガでは2名の講師と8名の参加者で構成。トレーニングを経て、ワークショップ後に完成させたエッセイを講師のテキストと共に日本語英語併記で、小冊子「映画批評コレクティヴ3」として編み、紙版、PDF版を刊行した。
- 関連する国/地域
- 日本, シンガポール, フィリピン, インドネシア, マレーシア
- 協力団体/協力者
- 山形国際ドキュメンタリー映画祭
- シネマ・レヒヨン
申請団体より
一定期間、寝食を共にし、ワークショップを受けることは、異国間の参加者たちの交流を図るうえで、非常に効果的な事業である。同時に、単に「交流する」だけでなく、映画批評について思考するという試みを共有しながら、そこで直面する問題や責任を、これまで認識することのなかったいくつかの見地から発見することができたのは、参加者にとって今後の活動への知見を広げることにもつながっている。今後、参加者それぞれの活躍の一助になるだけでなく、参加者が何かしらに取り組み際に協働できるような関係を築き続けられるとよい。
ナガでのワークショップは世界中で新型コロナウィルス感染症が拡大する直前であった。当初の予定では、ワークショップ終了後、3月中に受講生からは完成エッセイを、講師の方からは書き下ろしエッセイを提出してもらう予定だったが、各国におけるロックダウンやそれぞれの生活環境が一変してしまい、エッセイ提出が延びに延びて、冊子の編集作業は9月までかかったが、最終的に全員のテキストを掲載できた。出版されるということが、執筆意欲を刺激し、外部との接触を創出する重要な要素であることを改めて認識した。