サンボー・プレイ・クック遺跡群の保全を担う修復現場の技能員、考古学・建築学の若手専門家を育成する事業。現地技能員の約10名に対して、煉瓦造遺構と石材彫刻の修復保存技術についてオンジョブ形式で継続的なトレーニングを実施し、保存修復事業に必須な技術習得を図った。2015年4月の足場構築作業に始まり、南・西面屋根上部の脆弱煉瓦の解体工事、解体煉瓦部材の修理、南・西面屋根上部の再構築工事、西面扉周りの補強工事、テラス基座の整備及び周辺の小祠堂の基礎的調査を、現地プロジェクトチームをはじめとする各機関・各協力者と連携して進めた。若手専門家育成では、8月に、考古学あるいは建築学を専攻するカンボジアの大学生および若手専門家に対して、遺跡群内の建築学調査・実技プログラム、発掘調査を通じて約2週間の講義・実技を伴う研修事業を実施し、より高い水準の専門性を学ぶことができる場を提供した。
平成27年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1528/
平成28年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/grant/cc1642/
- 関連する国/地域
- 日本, カンボジア
- 協力団体/協力者
- Sambor Prei Kuk Conservation Project
- Ministry of Culture and Fine Arts, Cambodia
- Japan APSARA Safeguarding Cambodia
- So Sokuntheary
- 田畑 幸嗣
申請団体より
約20年にわたり保存修復活動を続けてきたサンボー・プレイ・クック遺跡群で、技術的、学術的の両面からの人材育成を継続して実施することにより、これまでの保存修復の蓄積を活用して、次世代の若手技能員・専門家が将来持続可能な修復活動を主体的に担うための基盤を整えるための契機となった。
特に、アンコール遺跡群の全体像を解明する上で学術的に非常に重要な当該遺跡は、2017年7月のユネスコ世界文化遺産リストへの登録で、これまで以上に各方面より大きな期待が寄せられており、そうした重要遺構の保存・修復・活用を、危機に瀕していた最初期から段階的に進め、その活動を自主的に継続できる基盤を整えつつある点において、今後のカンボジアの保存修復事業の重要な事例になると考えられる。