「多文化理解」を促進する演劇をつかったワークショップをPETA(Philippine Educational Theater Association) の俳優と共同開発し、マニラと京都で実施。ワークショップの参加者は、海外にルーツを持つ青少年と一般市民である。 5月にBRDGがマニラを訪問し、DAWN(The Development Action for Women Network)のメンバーとトンド地区の住民にワークショップとインタビューを実施。また、バギオを拠点とするNGO、Cordillera Green Networkの演劇ワークショップを取材した。 10月にはPETAの俳優Ian SegarraとJoseph Madriagaが来日し、京都市地域多文化・交流ネットワークサロンと京都市内の中学校にてワークショップを実施。シンポジウム『日々の暮らしの中で、演劇と。』も開催し、舞台関係者のみならず、文化人類学の研究者や海外にルーツを持つ青少年を支援する専門家などが参加した。さらに、BRDGの活動をケーススタディとして、演劇創作におけるリサーチ方法を検証するプログラム『Re-search and Re-direction: かかわりの技法』を京都芸術センターと共催し、7月からシンポジウムや定期的な勉強会を行い、議論を重ねた。
山口惠子 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/fellow/fs1706/
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From the Organizer
今回、京都に住む海外ルーツの青少年たちと演劇ワークショップを実施出来たことは、非常に大きな成果であった。当初は「新しいワークショップ」や「多文化理解」という自分たちの設定した言葉にとらわれ過ぎて、どのように手をつけたらいいのか悩んだ。しかし、PETAの俳優と共にフィリピンと日本を行き来し、対話を繰り返す中で「理解」を前提にせず、他者との「ちがい」にまず触れることに焦点を当ててプログラムを組み立てていった。ワークショップの振り返りのパートでは「共に生きるってどういうことだろう?」という問いについて、青少年から自身の体験をもとにしながらフィードバックを行い、普段なかなか言葉にできないことを引き出すことが出来た。また、異なるバックグラウンドを持つ青少年たちが集まり、最初はぎこちない様子ではあったが一緒に動きをつくろうとしたり、話し合いをしたりする姿を見られた体験は、作品創作において大きなインスピレーションとなった。