フィリピン映画生誕100年の節目の年に、現地での映画調査と、専門家をフィリピンから招聘しての上映会を行なった。 現地調査では、フィリピン映画の専門家や映画監督たちから上映作品についてのアドバイスを受けながら、上映の候補作品を絞っていった。上映会では、共催のフィリピン映画開発振興会(Film Development Council of the Philippines、以下「FDCP」とする)と福岡市総合図書館の全面的な協力を受け、現在では見る機会の少ない、貴重なフィリピン映画の古典的名作を8本上映した。最終日に開催したトークでは、FDCPのジョー・アンドリュー・トルラオと、日本映画大学教授で東京国際映画祭のプログラミングディレクターをつとめている石坂健治が登壇し、フィリピン映画史のみならず、文化、社会など多岐にわたる話題でトークを行ない、映画の背景にあるフィリピン文化に対する理解を促した。トーク終盤のQ&Aでは、多くの方から質問の手があがり、活発な議論が行われた。
令和2年度 実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc2013/
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- Japan, Philippines
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- Film Develop Council of the Philippines
- Fukuoka City Public Library
From the Organizer
4泊5日で行なった現地調査では短い期間ながら、様々な人と出会い、上映会についての様々な助言をいただいたことで、有益な滞在となった。その後の作品選定や上映権利処理については、フィリピン映画開発振興会(FDCP)の担当者のご協力をいただきながら進めていった。古い映画が多く、権利関係が複雑なこともあり、上映会の詳細決定が当初の計画より遅れ、さらに上映会開催時はCOVID-19の感染拡大が懸念され始め、予定していた招へいゲスト一名の来日が直前でキャンセルとなった波乱ずくめの展開であった。 だが一方、FDCPのご尽力のおかげで、現在ではまとめて見ることがむずかしいフィリピンの古典映画8本をすべて日本語字幕付きで上映することが可能となった。さらに上映後に行われたトークでも刺激的な議論が繰り広げられたことは、フィリピン文化の相互理解につながったのではないかと考える。 共催のFDCPのご担当者からも評価していただき、交流を続けていくことで、近い将来、違う形で再度上映会を行いたい。