KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 AUTUMNのプログラムとして、インドネシア・ジョグジャカルタを拠点とするヴォーカリスト、ルリー・シャバラと大阪拠点の演出家・筒井潤及び地域の公募出演者が協働する合唱プロジェクトを、オンラインツールを使用して開催した。シャバラ独自の即興的コーラス手法「ラウン・ジャガッ」を、シャバラが来日できない今回のために、色彩と図形が自動的に変わっていく映像プログラムからなる新バージョンとして開発。これを使い、小学生から60代までの20名の出演者と、ゲスト出演の音楽ユニット・テニスコーツ、空間演出を担当した筒井潤がリハーサルを重ね、「声の民主化」をテーマとした新作パフォーマンスを発表した。シャバラが現地には不在の中、オンラインで対話を重ね、歌い手がいかに互いに聞き合い、自身の声を獲得するかを追求した。パンデミックの状況だからこその新たな国際交流が生まれるプロジェクトとなった。
- Related Countries
- Japan, Indonesia
- Co-organizer(s), Cooperator(s)
- Rully Shabara
- TSUTSUI Jun
- Tenniscoats
From the Organizer
いま、日本では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で国際的な往来が難しくなり、社会的にも文化的にも閉塞的な状況が生まれている。本事業では、こうした状況を鑑み、音楽的素養の有無に関わらず誰もが持つ「声」を通して日本とインドネシアの文化的文脈の往来を行い、他者の声に耳を傾けることで、他者への寛容性を獲得することを目指した。オンラインでインドネシアのルリー・シャバラとつなぎながら、20名を数える多様な背景を持つ出演者と日本側コラボレーターとの創作を進め、充実した内容の公演を行うことができたのは大きな成果だったが、公演結果と同様に成果があったのはその創作プロセスにあったと感じている。本番が近づく中、公演内容や「声」を出すということ、あるいはどうしたら互いの声を聞き合うことができるのかについて、公演参加者全員が長い時間をかけて話し合った。そのプロセスは、上演に活かされ観客に還元されたとともに、出演者はじめ公演参加者全員の貴重な経験となったと考えている。