漆工芸はアジア独特の工芸であり、かつてはアジア各国の漆器生産地にて生産されていたが、現在では衰退の一途を辿っている。漆芸制作に携る漆器生産者や漆芸作家とともに、漆器組合、漆器生産者、漆芸を学ぶ学生等の他、広く一般の人々を対象に、漆工芸を通した交流を行った。 10年に亘りミャンマー、ラオスで交流事業を続けており、平成27年度より対象国を拡大し、タイ及びカンボジアでも活動を行った。平成28年度は、更にベトナム・ハノイにて各国の漆工芸表現や技術に関する交流プログラムを実施した。社会的背景、宗教、経済、歴史、技術、素材、産品形式において異なる環境にある各国の漆工芸の現状を報告しあい、技術を学びあった。また、「漆工芸に関する知識、理解、存在価値がなぜ薄れているか」を検証。伝統技術の継承とともに新たな価値を提言する必要があると考え、日本と東南アジアに加え中国、韓国、台湾、イギリス、アメリカの漆工芸作家や研究者に依頼し、レクチャー、ディスカッション、パフォーマンス等を行った。
平成27年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/grant/pp1528/
平成29年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/grant/pp1714/
- 関連する国/地域
- 日本, タイ, ベトナム, カンボジア, ミャンマー, etc.
申請団体より
本事業の展覧会では、各国の多様な漆芸表現・技術・デザインを展示し、各国の漆芸事情をパネル提示した。講演会では、日本・ベトナム・ミャンマーをはじめ各国の漆に関する取り組みを共有した。ポスターセッションでは、漆に関して様々な観点から研究する方々の取り組みや研究成果を発表し、参観者や参加者相互に情報交換を行うことができた。技術公開とワークショップにて各国の漆工芸技術を学びあい表現価値を高めあうことができたと考えている。参加者には、各国の次世代を担う地元美術大学の学生、画家、職人の参加も多数見受けられた。また、当事業で最も多くの国からの参加者があった。中国、台湾、日本からも大学生が参加し、若い世代において漆文化の現状と魅力を共有する双方向の交流を行い、漆工芸を通した新たなネットワークとコミュニティーの基盤形成をスタートすることができたと考えている。