越後妻有地域(新潟県十日町市・津南町)を舞台に2000年より開催されている「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2015」において、タイ人作家ナウィン・ラワンチャイクン(Navin Rawanchaikul)を招へいし、作品制作を通して国を超えた相互理解と文化交流を図った。 作家は、赤倉集落という過疎高齢化の進む限界集落に通い、住民との交流やインタビューを行って同集落の歴史や人々の記憶を記録。バチカン宮殿にあるラファエロ作の名画《アテナの学堂》から着想を得て、かつてこの地に育った赤倉集落に暮らす人たちが描かれた大型絵画《赤倉の学堂》を制作し、住民全員にインタビューした映像と音声とともに発表した。 地域の歴史と各家族の記録が、地域に内在する価値とその魅力を世界に発信する作品となり、芸術祭の総合ディレクターである北川フラムも、これまでの「大地の芸術祭」のなかでも歴史に残る名作品と評価した。
- 関連する国/地域
- 日本, タイ
- 協力団体/協力者
- Navin Rawanchaikul
申請団体より
本事業によって、過疎高齢化が進む越後妻有地域において、集落の記憶と現在・未来が見えるような秀逸な作品を生むことができた。そしてこの作品通じて、小さな集落の人々が生きてきた証を残し、その生きる姿を国内外に発信することができた。集落についても、作家との交流や映像ナレーターとしての参加を通して活気が生まれ、自分たちの肖像画を前におじいちゃん、おばあちゃんたちが満足気に語り合う姿が見られ、地域の活性化に寄与することができた。 その後もイベント時に再展示を行っており、継続的な作品公開を通して、地域のファンを育て、地域の元気を生む活動を続けていきたい。