日本とラオスの、ろう者が参加する専門人形劇団が、互いの国を行き来して、相互にワークショップを行った。 参加劇団は、日本は「デフ・パペットシアター・ひとみ」、ラオスは「劇団カオニャオ」である。日本側は結成38年で、ラオス側にろう者が参加したのは4年前からと歴史は違うが、両劇団は10年以上前から交流があり、「ろう者の感性を生かして創造的に新しい人形劇およびパフォーマンスをめざす」という共通点がある。今回の事業の目的は、ろう者の参加による創造の可能性を探っていくことであった。 共同ワークショップでは、それぞれが作品を示し、手法を学び合う示しあうところから始まったラオス固有の三人遣いとそのための基本的な訓練手法や、日本側の、ろう者のために音をとりいれた、作品づくり等が行われ、それらを互いに学びつつ、両劇団の人形を使って試作を重ね、最終日に発表会をおこなった。 そのほか、両国のろう学校、ろう者団体、日本のろう者による演劇グループ、ラオスの創造の基盤にある農村での村民の芸能活動グループを訪問した。また日本では、ラオスにはない現代人形劇の手法を専門人形劇団から学ぶ講座も行った。
- 関連する国/地域
- 日本, ラオス
- 協力団体/協力者
- 劇団カオニャオ
申請団体より
初めての共同ワークショップであったため、まず両者の固有性を発見するプロセスが新鮮で有用であった。 お互いが相手を感じ合うコミュニケーションの訓練や音のワークショップを両者で行い、それらはワークショップでの小作品試作にもとりいれられた。その作品づくりは、両劇団で共通の、音声言語を使わず、身体とモノを遣うものであったが、1回目(在ラオス)と2回目(在日本)とで、回を重ねることにより、試作への道も深まった。特に2回目の日本でのワークショップでは、日本とラオス、それぞれが森の精霊をテーマとした作品を演じているところから、アジアの精霊をテーマとした作品づくりが行えた。 また、さまざまな団体との交流によって、社会参加、芸術創造活動への参加のありようが異なる両者が、お互いの創造基盤を知り、ろう者の創造活動に理解を深めることができた。