本事業は以下の二事業を段階的に行い、新潟市発のアニメ・マンガ文化を東南アジアにおいて複合的に発信した。
1.アニメーション制作を学ぶ東南アジアの若手人材の新潟市への招へいと交流、そして新潟市滞在経験に基づく作品制作とその発表
シンガポールでアニメーション制作を学ぶLASALLE College of the Artsの学生が11月16日から23日まで新潟市に滞在し、新潟大学アニメ・アーカイブ研究センターが所蔵するアニメ中間素材をアーカイビングする実習型講義、新潟市出身のアニメ監督山賀博之のワークショップ、日本アニメ・マンガ専門学校との交流会に参加し、首都圏とは異なる風土をもつ同市に蓄積されたマンガ・アニメに関する文化を学んだ。帰国後、学生たちは新潟経験に基づいて短編アニメーション、立体インスタレーション、連作イラストレーションを完成させ、2018年3月14日から31日までLASALLE において展示した。14日には山賀博之監督による講評会が開催され、学生たちは自身の制作と新潟経験を振り返った。
2.シンガポールにおけるA World Is Born: Emerging Arts and Designs in 1980s Japanese Animation展の開催
新潟大学アニメ・アーカイブ研究センターがGAINAX社から受諾して作成した山賀博之監督『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987)の中間素材のデジタルデータに基づく展覧会を2018年3月19日から31日までLASALLE College of the Artsとともに開催した。単なる作品紹介ではなく、来場者がスタッフの共同作業とその過程を体感できることを目指した展示が行われ、学生、現地のアニメーション業界関係者、メディアから高い評価を得た。
- 関連する国/地域
- 日本, シンガポール, マレーシア, ベトナム
- 協力団体/協力者
- ラサール芸術大学
申請団体より
新潟とシンガポールというふたつの地域が、アニメ中間素材という文化財を介して協働し、新潟における一連のワークショップの開催、その後のシンガポールにおける新潟経験に基づく作品の制作と展覧会の開催、ならびにアニメ中間素材展の開催を実現できた。新潟側、シンガポール側の双方にとって、初めての試みであったため、何度も議論し、試行錯誤を重ねることになった。しかし、新潟経験から生まれた作品の質の高さと、アニメ中間素材展に対するシンガポールの人々の反応を知り、それまでの試行錯誤もまた、協働にとって必要不可欠のことであり、成果の重要な一部であることを認識した。