長期に及んだ軍事独裁政権の影響で、ミャンマーにおいては法律の専門家である弁護士や人権活動を行う団体等が、国際的に確立された人権保障の基準やその内容に関する知識、またこれらを活用して人権の保護・促進を進める知見を十分に持っていない。このような状況の中、本事業では、日本の弁護士などの専門家をヤンゴンに派遣し、主にヤンゴン弁護士会に所属する弁護士、判事、人権活動家などを対象に、計5回、国際人権法に関する講義・グループディスカッション、日本の弁護士が女性の権利や公害訴訟において人権擁護を実現してきた事例紹介、ミャンマーが直面している人権問題・発生しうる人権問題についての意見交換を行った。参加者は、弁護士、判事、ミャンマーの人権活動家など多岐に渡った。弁護士や判事は、ミャンマー国内でこれまで人権に特化した教育を受けてこなかったため、新しい概念・価値を学ぶきっかけとなった。また、講義以外の時間も、現地のNGOが直面している人権問題やアドボカシー活動、今後の協力の可能性について協議し関係強化を図った。
- 関連する国/地域
- 日本, タイ, ミャンマー
- 協力団体/協力者
- ヤンゴン弁護士会
申請団体より
スタンダードについて基礎的な知識を身につけてもらう機会を提供できた点で、計画達成と評価できる。参加者の意欲も高く、学んだ知識を具体的事例においてどう活かしていけるのかについてさらに研究したいとのコメントなど、新しい知識を身につける意欲が伝わってきた。課題として、参加者は仕事を調整して講義に来るため、中には全日講義に参加できない者もいる。この点を欠席した参加者に対する講義内容のフォローをどのように実施し、講義内容を確実に身につけてもらうのかについての検討が必要である。今後、国際人権教育事業を継続していく中で、本事業で新たに築かれた現地団体との協力関係を活かし、より多くの人々にアプローチをし、より現地のニーズにあった講義を提供していきたい。