アンコール・ワット西参道の修復は日本とカンボジアの技術交流研修の現場であり、日・カの重要な文化拠点交流事業である。この修復は外務省ODA(一般文化無償資金協力:上限 9,470 万円)として採択され、必要な修復機材が現場に届き、据え付けられた。(2015 年 12 月)
(1)工事期間:2016 年 5 月に起工式を行い、2023 年度の完成を目指す。
(2)実施体制:上智大学(アンコール遺跡国際調査団)とアプサラ機構は技術交流と修復方法の検討を重ね、カンボジア人の技術者(保存官)を養成しながら共同で実施する。両者は、派遣と招聘により「アンコール・ワット西参道修復技術交流研修委員会」を両国で毎年開催し、相互交流による技術移転の綿密な計画に基づき修復工事を実施する。
2015年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1558/
2016年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1647/
2017年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1727/
2020年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc2015/
- 関連する国/地域
- カンボジア
- 協力団体/協力者
- カンボジア王国政府アンコール地域遺跡保存整備機構(アプサラ機構)
申請団体より
アンコール・ワット西参道第 2 期工事は 2016 年に開始された、「カンボジア人による、カンボジアのための保存修復(“By the Cambodians, for the Cambodians “)」を掲げる人材育成の現場研修である。
2018 年 12 月 4 日、カンボジア王国シェムリアップ市において開催された「第 25 回アンコール遺跡国際調整会議(ICC)」において、フン・セン首相が故シハヌーク前国王のお言葉「(内戦中からカンボジア人保存官の人材養成を開始したことに触れて)最初に井戸を掘った人を忘れてはいけない」に再度言及された。そして、同日会議に出席中のプーン・サコナ文化芸術省大臣より、以下の修復工事関係責任者3名にカンボジア王国の勲章が授与された。勲章授与理由は、アンコール・ワット西参道修復工事並びにカンボジア人専門家の人材養成に対する貢献とその成果がカンボジア政府から高く評価されたことによるものであった。
【授与者と勲章】
高祖敏明(上智学院前理事長)/サハメトレイ勲章コマンドール章
平山善吉(アンコール・ワット西参道修復技術交流研修委員会委員長)/サハメトレイ勲章大騎士章
石澤良昭(アジア人材養成研究センター所長)/モニサラポン勲章大官位章
こうした西参道修復工事(第 2 期)の完成に向けた日・カ両国の技術交流研修委員会の活動は、文化遺産の保存・修復国際協力モデル(南南協力)の形成に繋がるものと、アセアン10ケ国が注目している。