日本・インドネシアの異文化交流を通して新たな美とコミュニティの創造を目指すプロジェクトの一環として実施したスタディツアー。 バティックを通して、日本とインドネシアの伝統的なモノ作りに対する姿勢や技術、背景を互いに学び、異文化交流を促進することで、新たなコミュニティや作品制作へとつながる下地を作った。 ジャワの北岸と中部の主要な関連都市を訪問し、バティック関連施設や一般には公開されていない工房などを見学。訪問時には、工房内での作業の様子や、実際の制作方法を専門家の意見を聞きながら学び、工房主や現地の職人達とバティックの現状について意見交換をした。また、現地のNGOスタッフや在留邦人、伝統工芸関係の作家、専門家、大学関係者、その他一般参加者など、多様な人々から参加を募り異なるコミュニティ間の交流を促進した。ツアー終了後には、報告会を開催した。
- 関連する国/地域
- 日本, インドネシア
- 協力団体/協力者
- ディアン・デサ財団
申請団体より
この事業を機に、日本とインドネシアの伝統工芸を通した交流ネットワーク、協同制作ネットワークの礎を築く事が出来たと実感した。なぜなら、ツアー実施後に、参加者らが実際にインドネシアとの共同制作の企画や教育プログラム、訪問先工房との取引を始めたからだ。 また、各訪問先において議論の場を設けた事で、今後の課題を見出した。バティックは「ロウを美しく置く技術」が代々受け継がれてきた伝統工芸であるが、「模様を細かく正確にロウで描く事がバティックの目指す技術なのか?」「プリントで出来る事を何故手で描くのか?」という問いに議論が白熱した。これらの問いに対し、バティックの本質は「線の表情」であるという答えを見つけた。エネルギッシュな線、丁寧で滑らかな線と、「線の表情」は地域によって異なり、手描きバティックの魅力であると考えられるからだ。よって、どのように「線の表情」を表現する技術を後世に継承するかが今後の課題であると考えられる。