「Creators’ Cradle Circuit(以下、3Cs)」と題した越境型移動舞台芸術祭の実践に向けて、その可能性や課題を探るためにフィードリサーチを実施。3Csは、ボーダレス化がますます加速するグローバル社会の新しい現象における、同時代のアジアのコンテンポラリーな舞台芸術の意味を読み解くために始めた、芸術的な挑戦である。東南アジアと日本の新進アーティストやキュレーターが共にアジア圏の開催都市を移動する、その機動性(モビリティ)を活用して、新しい独創性を育むことを目的としている。その一環として、様々な地域の文脈を調査し、そこを拠点とするアーティストや観客との対話を重ねている。
今回のフィールドリサーチでは、3Csの1回目の開催候補地としているソロ(インドネシア)とマニラ(フィリピン)において、3Csのコンセプトを発展させるために、地域特有のニーズや反応を収集するコミュニティ・ダイアローグを中心に実施した。
Achievements of FY 2019 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/en/grant/cc1919/
Achievements of FY 2020 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/en/grant/cc1945/
- Related Countries
- Japan, Philippines, Indonesia, Malaysia, Thailand
- Co-organizer(s), Cooperator(s)
- Chizuru Matsumoto
- Studio Plesungan
- Fringe Manila
- Pineapple Lab
From the Organizer
3Csのリサーチ1年目では、ソロのundisclosed territory #11とマニラのManila Fringeの2つの芸術祭と連携して現地の芸術環境の調査、アーティストや専門家、行政の文化担当者等との面談、ならびにKarakoa主催による3Csのプレゼンテーションをもとにした議論の場として、コミュニティ・ダイアローグを中心に展開した。この2つの芸術祭に共通する、アーティスト主体の企画運営と、フェスティバルに集まる観客やアーティスト、その周辺の芸術環境にも目を向けた地域性豊かなキュレーションの手法を参考に、3Csの構想にある「育成」「フェスティバル」「対話」の3つの機能を検証した。特に、リサーチ中の質問の多くにあった3Csの特徴であるTransnational、emergingなどの意味を再考する機会となった。また、3Csの核である作品とアーティストの成長を支えるモビリティを効果的に運用していくためのプログラムの身軽さ、シンプルさといった運営上の新たな課題も、次のバンコク、クアラルンプール、東京でのリサーチ段階でトライ&エラーを重ねながら解決していきたい。普段5カ国のそれぞれの拠点から3Csの実現に向けて奮闘するメンバーが実地調査を行える環境を支えてくださった、国際交流基金助成に心から感謝している。