本プロジェクトは、日本のアーティストユニット FKSKとマレーシアの森林地帯を保有するアーティストグループMAIXによる共同企画で開催された。 マレーシアの先住民族、オラン・アスリ、テミアーの人々を講師として、アーティスト、文化人類学者、建築家等からなる両国のチームが、知識や技術、文化の交換をしながら、リサーチとワークショップ、シンポジウム、展覧会を行った。マレーシア先住民が持つ文化的なバックグラウンドを、伝統的な建築工法を学ぶワークショップによる実践と体験の共有によって学び、また、知見の交換を通じたアーカイブ作成と創作活動により、消えゆく文化の継承に関する問題提起と考察の場を創出した。その他、現地の子どもたちと共に絵画制作ワークショップ等の創作行為、村長や女性たちの日々の生活に関する話の聞き取りを通じて、多様な先住民の生活形態を記録した。
- Related Countries
- Japan, Malaysia
- Co-organizer(s), Cooperator(s)
- MAIX
- Komyoji-kaikan
- Jabatan Kemajuan Orang Asli (JAKOA)
From the Organizer
本プロジェクトでは、テミアーの人々が継承してきた生活の知恵と文化を、立場(専門)も国籍も異なるメンバーで体験し、複数の視点で記録・考察することができた。また、領域横断を通じ、これまで相互交流が乏しかった領域間、伝統技術と現代的視点の間での交流を図り、美術を含む、各専門領域における新たな視点・アイデアの生成が促進された。一連の事業記録は既にマレーシアで公開されているが、今後日本の各地でもこれらの成果を積極的に報告していきたい。 今回、国際交流基金アジアセンターの助成により、長年温めてきたプロジェクトを実現し、貴重な第一歩を踏み出すことが出来た。しかし、今回はあくまでもはじまりに過ぎず、今後も継続的に、オラン・アスリ社会の開発問題に対して独自の視点でアプローチしていく計画である。既に、マレーシア人アーティストのシュシ・スライマンによる、建物を考えるための新しいターム“BOTANI ARCHITECTURE”の提案や、オルタナティブ教育の場としての“アダットスクール”(Adat : テミアー語で慣習の意)の計画もあり、一過性のイベントではなく、今後も継続的に展開するプロジェクトに発展させていく計画である。