日本、フィリピン、タイの劇作家、演出家、俳優達による共同製作。「Gender(性)/Care(介護)/Barrier(社会的障害を含む)」というテーマで、日本、フィリピン、タイの状況をリサーチし、ディスカッション、ワークショップを重ねて作品を練り上げ、演劇公演『リタイアメン』を東京、マニラ、チェンマイ、バンコクで上演した。退職して東南アジアに移住する日本の高齢者、海外移住労働によって別々の国に暮らす家族や、身体的に障害を持った人等、社会の構造が生み出す様々なバリアを抱えた登場人物たちが、自分なりに生きる方法を模索し選んでいく。その関係性のなかで、現代において「支え合う」ということがどれほど複雑に国境を越えて成り立っているのか、また、この先どのように成り立たせていけるのか。三カ国のアーティストたちが協力して取り組み、アイデアを出し合いブラッシュアップを図り、創作過程、さらには公演期間中・ツアー中においてアジアのなかでの各国の関係を見つめ直し、作品に反映させた。
Achievements of FY 2019 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/en/grant/cc1925/
Achievements of FY 2016 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/en/grant/cc1630/
Achievements of FY 2015 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/en/grant/cc1520/
- Related Countries
- Japan, Philippines, Thailand
From the Organizer
三年間にわたりリサーチ、ディスカッション、ワークショップ等を積み重ねた甲斐あって、フィリピン、タイの俳優たちと信頼関係を築き、個々のアイデアを集積した密度の高いコラボレーション、強い社会性を有した質の高い共同製作を完遂させることができた。 言語の障壁がありつつもお互いを尊重し、言葉を使ったコミュニケーションを大切にして、その表現の可能性を追求。国を越え交流しそれぞれの社会状況を比べ、「いま」と向き合った演劇創作ができたことで、共に「未来」を作っている、その手応えを感じられた。それが作品に反映され、観客にも伝わったのではないかと考えている。 『リタイアメン』では、移住労働を巡る現実、東南アジアで女性を「買う」日本人男性の意識、介護する側とされる側の関係等、たくさんのトピックを扱っている。この先、その一つ一つについて改めて取り上げ、さらに深めて大切ではないかと考えている。今後もアジアのアーティストたちと、お互いの背負う環境を知り関係を築き、刺激を受け高め合いながら新しい演劇表現を発見し伝えてきたい。