江戸時代に起源し現存する唯一の京観世五軒家である林家(林能楽会)が、舞台芸術に携わるマレーシアのアーティストたちと共に、マレーシア民話をもとにした新作能を制作・発表する事業。日本では触れる機会の少ない多民族国家マレーシアの多様な民話もYouTubeチャンネルで紹介。オンラインでのディスカッションの様子、新作能の創作過程、成果発表の様子も動画で公開している。
なお、本事業は2019年クアラルンプール日本文化センター主催で開催された、3日間の集中講座「能マスタークラス」が契機となり、その受講者を中心とした約15名のマレーシアのアーティストたちが参加した。
公式ウェブサイト
https://nohcanlah.com
申請団体より
本共同制作のアイディアは、数年に渡り温められてきたが、本助成を受けその第一歩を踏み出すことが可能となった。様々な制限から、より創造的に事業を展開することができ、結果として「対面しない共同制作」による新作能の台本作りとその成果発表まで実施することができた。
事業実施においては、アイディア共有の段階から両国が参加し、全員がそれぞれの役割を持って制作プロセスに参加・尽力したことに非常に価値を感じている。一方的な文化紹介でなく、文字通り相互交流事業であったと言える。今後の展開においても、時にマレーシア側が中心となり現地での助成を得るなど、より持続可能な民間文化交流の形を模索していく。
また、今回完成した台本は、物語の展開や視覚的なエンターテイメント性が高く、観る人の国籍にかかわらず、初めて能に触れる導入として適したものとなった。国内外で、新たな能ファンを獲得する可能性を大いに秘めていると感じている。