介護分野において同様の「地域包括ケアシステム」を進めようとしている日本とインドネシアにおいて、共通課題である家族介護者や地域ボランティアなどのインフォーマルな担い手の介護リテラシーの向上を目指し、国際介護トレーニングセンターの設置構想に関する協議とスタディツアーを実施した。 2015年12月にインドネシアを訪問し、ジャカルタで政府・大学・民間財団関係者とワークショップを開催。ジョグジャカルタでは農村在住高齢者に向けた保健福祉サービスを視察し、ソロではジャワ人の精神文化Sumelehについて学習した。 2016年3月には福岡市で開催された「第10回アジア太平洋アクティブ・エイジング会議2016」にインドネシア人11名を招へい。介護の国際的なトレーニングセンターに関して協議、提言を行い多くの参加者からの賛同を得た。また福岡市の取り組みについてのスタディツアーを行った。
- 関連する国/地域
- 日本, インドネシア
- 協力団体/協力者
- インドネシア大学エイジング研究センター
申請団体より
この事業の成果を踏まえて、平成28年度はインドネシア大学センター・オン・エイジングスタディーズの肝いりで、インドネシア政府の高齢者保健福祉に関わる複数の省の指導者養成担当者と協議を実施した。さらに文部科学省委託事業を受けた敬心学園グループによる「エントリーレベルの介護実証講座」を、地域高齢者保健福祉活動家やNGOの活動家向けに実施し、好評を博した。 また、本事業の中で、福岡市に対して「高齢者保健福祉に関する国際的トレーニングセンター設置」の提言を行ったが、これが平成28年度の福岡市健康先進都市戦略構想検討会の中で取りあげられた。この成文は平成29年度に公表される予定である。これは、国の「アジア健康構想」にも沿った内容になると期待される。 この事業を通して、高齢者の健康福祉の文化差を相互理解しながらも、共通する知識と技法を分かち合おうとする両国関係者の士気が高まったと実感している。平成29年度は、サンフランシスコやマレーシアのクチンで開催される国際会議で今後の協議をさらに続けたい。