アンコール・ワット西参道修復第1期工事は1996年から開始された。保存官の養成は、現在まで25年間の歳月をかけて遺跡現場で継続してきた。その活動はワットでの現場実習と日本から派遣する専門家の技術的支援(上智大学アジア人材養成研究センターでの講義)であった。今回オールジャパンで支援する第2期工事(2016年~)を担当するカンボジア人保存官の養成は、毎年日本における7日間の招聘視察が組み込まれ(国際交流基金アジアセンターの支援)、彼らはすでに5年間にわたり日本の文化財保存修復現場を訪れ、日本の建築技能者と交流を深めてきた。保存官たちにとって一つの区切りとなり、卒業制作的意味のワット修復である。その技術的成果が問われている。
令和2年度は新型コロナ禍のため派遣・招聘事業ともやむなく中止となったが、保存官は自らの手で修復工事を継続し、最後の難関第3工区の修復に、日本の技術委員会が作成した施工計画とマニュアルを使って取り組んでいる。
2015年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1558/
2016年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1647/
2017年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1727/
2019年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1909/
- 関連する国/地域
- カンボジア
申請団体より
「アンコール・ワット修復人材養成プロジェクト」は、平成26年度(2014)から、国際交流基金アジアセンターの支援により開始され、令和2年度(2020)まで途切れることなく、カンボジア人保存官の養成を継続することができた。今や、日本が先導する実践的な文化遺産保存・修復国際協力モデルとして、カンボジア王国政府文化芸術省他から高く評価されている。助成期間終了後もアンコール・ワット西参道修復工事(第2期)が完成するまで日本からの技術支援を継続していく。