COVID-19の感染拡大により延期されていた当事業は、3つの参加国でそれぞれ演劇ワークショップを行い、国際交流部分はオンライン形式で実施した。テーマは「民話に学ぶ」とし、それぞれの地域に伝わる民話を語り部に取材し、それをもとに現代社会の抱える環境問題と絡めて演劇ワークショップを行った。フィリピンでは国内移動も規制されている中、山岳地方の村で若手ファシリテーター4人が演劇ワークショップを担当した。通信環境の悪さと雨季の長雨に悩まされたが、ファシリテーター4人のうち3人が演劇作品を作り上げた。インドネシア・アチェでは、事前に制作したビデオ映像(「森の番人」へのインタビュー)を活用し、映像作品に近い演劇を3日間で制作した。上田市でも語り部の全面的な協力を得てのワークショップで2つの演劇作品を作った。2か国ずつをオンラインで繋いでの交流、日本とインドネシアの講師によるウェビナーを経て、最終的には3か国を繋いだでビデオによる演劇発表と意見交換のオンライン・イベントを行った。
プロジェクトの様子(Facebookページ) https://www.facebook.com/theaterworkshopifugao
事業報告書(英文) https://issuu.com/cordilleragreen/docs/folktales_english_web_interactive
平成30年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1816/
平成29年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1705/
- 関連する国/地域
- 日本, フィリピン, インドネシア
- 協力団体/協力者
- 一般社団法人 シアター&アーツうえだ (犀の角)
- 花崎攝(演劇デザインギルド)
- 武田力
- コミュニタス・ティカール・パンダン
- アグス・ヌール・アマル
申請団体より
インドネシアやフィリピンの先住民の若者たちにとって今回の事業は、インターネットを連絡やゲーム以外に使用する新たな経験であり、ほとんどの者がZoomを使ったウェビナーや交流は初めてだった。感染拡大防止のためさまざまな催しが中止になっている中で、オンラインで海外と繋がることができるこのプロジェクトは大きな刺激となった。参加した若者たちは、地域に伝わる民話の発掘を最初は“退屈”に思ったようだったが、ファシリテーターの巧みな指導で、最終的にはそれぞれの地域文化の見直しと環境問題への関心のきっかけに結び付いた。演劇化に至らなかった物語も数多くあり、今にも失われそうな貴重な口承物語を次世代に継承する事業につなげていきたいと考えている。山岳部でのネット通信状況の改善には時間がかかりそうであり、ビデオではなく音声を使った創作活動や書籍などがまだ最も有効であると感じた。