アンコール・ワット西参道の修復は日本とカンボジアの技術交流研修の現場であり、日・カの重要な拠点文化事業である。2015年秋から2020年までの6年間で修復の人材育成事業を実施しながら、完成を目指す。
上智大学(アンコール遺跡国際調査団)とアプサラ機構が技術交流を重ねながら共同で実施。両者は、派遣と招へいにより「アンコール・ワット技術交流研修委員会」(技術教育・工事指導)をカンボジアと日本で開催し、相互交流による技術移転の綿密な計画を推進する。『設計施工基本計画』の編纂。そのため、①アンコール・ワット修復現場の調査、特に雨季の集中豪雨問題を重点的調査。②西参道・環濠の考古学的調査(日本・カンボジア合同専門家チーム)。③専門家の派遣による西参道の安全管理および機材オペレーターの教育指導等を実施した。
2015年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1558/
2016年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1647/
2019年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1909/
2020年度採択事業 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc2015/
- 関連する国/地域
- 日本, カンボジア
- 協力団体/協力者
- 国立アンコール地域遺跡整備機構(アプサラ)
申請団体より
成果・所感:「『人と人との国際協力』を掲げ カンボジア人によるカンボジアのためのアンコール・ワット修復
(By the Cambodians, for the Cambodians)」
遺跡の保存・修復は現地のカンボジア人の手によって修復がなされることが望まれる。
3年間にわたる助成金によりカンボジアのアプサラ機構と日本の技術委員との交流研修委員会を通じ、またICC(アンコール遺跡国際調整会議)の意見を取り入れつつ、現在の参道のオリジナルを残しながら解体・修復方針もほぼ決定した。その間、修復に携わる石工・技術員等の養成も進んだ。保存・修復の専門家がいないカンボジアにおいて解体・修復工事をこれまで指導してきたが、新しい修復技術がどのように生かされるか人材養成の真価が問われる本番である。
引き続き助成をお願いする次第である。
展望: 日本政府はこれまでアジアの復興開発に積極的に関与し、外交活動における平和構築の支援の成功例となっている。西参道完成の暁には増加する観光人口を適正に受け入れ、水道取水計画、上下水の工事、さらに環境配慮型のマスタープラン策定など総合的に発展できるようインフラ建設などに協力することが望まれる。