今日、アジア太平洋地域は中国をはじめとする新興諸国の台頭によって大きな変革期を迎えているが、この状況に適切に対処しつつ、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を維持・発展させていくためには、日本とASEANは何をなすべきか。そのような問題意識を踏まえ、シンガポール南洋理工大学S.ラジャラトナム国際関係学院およびベトナム国家大学人文社会科学院の協力を得て、国内外で共同研究を実施し、折しもトランプ米政権誕生で不透明さを増すアジア太平洋地域の将来像を展望するとともに、同地域の国際秩序を支える「日米+α」の枠組みの一環としての日・ASEAN協力のあり方を探った。また、この研究活動の集大成として、シンガポール、フィリピン、マレーシア、ベトナム、インドネシア、タイから有識者を招へいしての国際シンポジウム「日・ASEAN対話」を東京で開催し、一般市民を含む国内外69名の参加者間で問題意識の共有と意思疎通を図った。
事業関連ウェブサイト http://www.gfj.jp/j/dialogue/20170630.html
- 関連する国/地域
- 日本, シンガポール, フィリピン, インドネシア, マレーシア, タイ, ベトナム, 米国
申請団体より
本事業開始から約半年が経過した2016年11月の米大統領選挙で、大方の予想に反しドナルド・トランプ氏が当選したことで、本事業がその調査研究の前提としていた日米同盟および米国の対アジア政策の動向について根本的な再検討を迫られる事態が生じた。そこで本事業は、当初の研究計画に加え、「トランプ・ファクター」を本格的に研究対象に組み込むこととし、その結果、アジア太平洋地域の国際秩序をめぐる中長期的な展望およびその中での日・ASEAN協力のあり方について、包括的な調査研究を実施することができた。具体的には、トランプ政権の動向如何に関わらず、中国の影響力増大に伴うアジア太平洋地域におけるパワー・トランジションは不可避であることが予想され、日・ASEAN協力はその前提の下で強化されるべきであること、日本とASEANが、中国観およびこの地域のあるべき国際秩序像をめぐり必ずしも認識を共有していないこと、などが指摘され、今後のさらなる研究が求められることとなった。