Crossing Borders: Teaching and Learning Inquiry Science in Different Cultures and Religions
本プロジェクトは、日本の学校の科学授業における探求学習の教授方法を理解することである。「探求学習(inquiry learning)」は、科学的現象に関する疑問を提起し、実験の実施、プロジェクト作業、グループ討議といった様々な活動を通じてその答えを探求するよう生徒に促す教授・学習活動のことをいう。また、探求実践は、形式ばらない科学学習や教科書を通じても教授できると理解されている。すなわち、教室での活動、教師や教師指導者との面談、教科書の分析の観察からも明らかなように、探求実践は、初等教育から中等教育で教授されることが分かる。 ホーフステッドの文化的特質の枠組みによると、教師・生徒間の権威と距離の関係は密接で、それゆえに探求しやすい雰囲気(つまり、生徒は質問することを恐れず、教師は生徒が現象について考えることを促すよう頻繁に問いかける)が可能になる。しかし、不確実性を避ける文化(つまり、生徒は仲間の前で無能だと思われることを嫌う)は、探求実践の妨げとなる場合がある。教授・学習プロセスに影響を及ぼすこの生来の文化的特質を克服する方法は、教師が文化的応答性の高い教え方をすることである。指導に基づく試しと失敗を考慮した、形式ばらない科学学習環境における継続的経験は、生徒に、失敗の恐れを克服する自信をつけさせることができる。 このフェローシップの調査からマレーシア(多文化社会)に当てはめられる教訓は、教師は自らの教授法に影響を与える文化的特質と、生徒達が教室に持ち込む文化的特質に敏感になることである。