2007年より日本を含むアジア諸都市において14回にわたって中川眞の主宰で実施されてきたアジア・アーツマネジメント会議が、2017年に発足したメコン・カルチュラルハブと協働して ‘Revealing Context’ というタイトルの国際会議を開催。グローバリゼーションに伴う経済格差、金融危機、貧困、少数民族問題、ジェンダー、環境破壊などによって、様々な社会的排除傾向が強まっている。アートを通してこれら諸問題を克服、解決しようとする実務家(アートコーディネーター、キュレーターなど)、研究者がオンライン上に集まり、プレ会議、本会議、追加会議と計5日間にわたって議論を重ねた。今回はミャンマーのクーデターやCOVID-19によって生じた新たな社会状況も重要な課題として議論の対象となった。参加者は25カ国より、約500人を数えた。その結果はウェブ上にて報告されている。今回の会議でアジアのアート・ネットワークが強化され、今後は多様な社会的課題に対して協力しながら取り組むことが可能となった。
- 関連する国/地域
- 日本, シンガポール, フィリピン, インドネシア, マレーシア, タイ, ベトナム, カンボジア, ラオス, ミャンマー, 台湾
- 協力団体/協力者
- メコン・カルチュラル・ハブ
申請団体より
本事業は当初、リアル会議を予定していたが、新型コロナの地球規模の感染拡大によって、オンラインと対面のハイブリッド開催となった。オンラインでは直接会えないというデメリットがある一方、参加者が予定の2倍以上を数え、そういう点では大きな効果があったといえる。一堂には会せなかったが、地域によっては対面のミニ会議が可能となり、40ヶ所の地域会議をオンラインで結ぶことによって、ハイブリッド開催を実現した。この手法は、今後も有効であると感じる。 近年の様々な社会的課題に加えて、ミャンマーのクーデターや昨年来のCOVID-19といった喫緊の課題についても議論できたのはよかった。アート関係者が、ソーシャルワーカーや行政、政治家、市民など多様なステークホルダーと緊密な情報交換と方法論を磨くことによって、エッセンシャルワークとしての存在感を高める方向性について議論できたのは収穫であった。 今回の事業を発展的に継続させるために、各国のコーディネーター間で話し合い、ポスト・コロナを見据えた動き(アートフェスティバルの開催など)が出てきている。