タイから劇作・演出家と俳優4名を招き、日本の「戦後」を東南アジアの若い世代の視点で相対化。現代のタイの若者と日本兵の亡霊との交流を通して、戦列に加わった人々の心の奥底を探り、誰もが直面する生と死そして愛惜を描きつつ、国家と個人の関係を浮き彫りにした作品。過去と現在を再認識し、国籍・言語・文化の違いを越えて、いかに人と人とが心を通わすことができるかを提示している。公演中に4回行ったアフタートークでは、作品の関係者のべ19名が登壇し、ニコンによる一般向けワークショップには、タイの俳優4名を含むのべ30名が参加。
現在のバンコクでワンチャイは日本兵の亡霊タダシと出会う。彼は泰緬鉄道が建設されていたカンチャナブリで消息を絶った幼なじみのシンスケの霊魂を探していた。その霊魂は転生せずまだ彷徨っていると信じ、タイの墓地や再会を約束した靖国神社にも行ったが見つからずにいた。ワンチャイとその友人たちとシンスケの亡霊を探して回ると──。
作:ニコン・セタン 訳:千徳美穂 演出:ニコン・セタン 坂手洋二 照明:竹林功(龍前照明) 音響:島猛(ステージオフィス) 作曲:Saowakhon Muangkruan 舞台監督:森下紀彦 他 美術:じょん万次郎 衣裳:ぴんくぱんだー・卯月 出演:SAIFAH TANTHANA SHOGO TANIKAWA JIRAWAT CHARNCHEAW VARATTHA TONGYOO 中山マリ 猪熊恒和 荻野貴継 樋尾麻衣子 武山尚史 他
平成29年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1728/
平成28年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1630/
平成27年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/cc1520/
- 関連する国/地域
- 日本, タイ
申請団体より
共同作業の実績と多くの共通性を持ったニコン・セタンと坂手洋二の協働によって、現代の視点から日本とタイそれぞれの俳優陣の身体性を時に際立たせ、時に調和させながら、言葉の違いを超えて人と人とが結び付き、また、離れてゆく摂理を描き出した。そこから、日本とタイの精霊信仰を背景にしながら、日本と他のアジア諸国にある歴史認識のずれを踏まえつつ、互いに相手を認め合い未来へと向かう道標を打ち立てている。
新型コロナウイルス感染症に対して可能な限りの策を講じ、予定していた全ステージを上演。帰国したタイのメンバーも、2週間の隔離期間を問題なく過ごし、無事にプロジェクトを完了している。