日本の文化財の1つで380年の歴史ある江戸糸あやつり人形結城座と、ベトナムの創造型劇場であるベトナム青年劇場の役者とスタッフが、現代演劇作品の協働創作に挑み、東京とハノイで上演する企画のうち東京初演を行った。作品は、あえて、日本でもベトナムでもない作品、かつ普遍的な作品や古典作品を選び、アジア的な感性を結集して現代化させる試みを行った。伝統と現代、人形と人間、日本とベトナム、様々な要素が融合し新たなる表現が生まれることを目指し、これらの表現活動を通して、アジアの両国の相互理解、交流の促進を図った。また、この協働創作活動を通じて、舞台技術的には日本よりも発展途上にあるベトナム人スタッフの技術向上の研修も行った。
平成28年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/en/grant/cc1611/
- 関連する国/地域
- 日本, ベトナム
- 協力団体/協力者
- ベトナム青年劇場
申請団体より
当団体にとって380年の歴史のなかで初めてのアジアの国との協働制作であった。ベトナムの演劇事情は1年前の交流から聞いてはいたが、実際に行ってみなければわからない点もあり、制作を通じて、上演作品の読み込みだけでなく、お互いの国の伝統的な文化や考え方(伝統的には、漢字の文化であること、年輩者を敬う文化であること等の共通点がある)を学び共有しながら創作することで、濃密な国際交流を行うことが出来た。公演事前のシンポジウムや公演中のアフタートークを実施し、この事業の周知と理解を深めて頂くことに努めた。これらの協働制作を通じて、日本の伝統文化である江戸糸あやつり人形の新たな表現の場に挑戦し、アジアの文化を融合した成果物(芝居)を創り、ベトナム人スタッフの技術向上、日本人スタッフの指導力向上をはかることができた。長期間の制作になるため、招聘費用が多大にかかり、国際交流基金の助成金なくば実現不可能な企画であった。 今後の展望については、この東京初演した作品を、ベトナムおよび欧州で上演することが予定されており、より多くの場所、多くの公演が実施できるよう関係機関と折衝中である。