東京藝術大学シルクロード特別企画展実行委員会は、危機に瀕している文化財の保護活動を継続し、生活の一部として定着させることを究極の目標として活動している。本事業では、平成29年9月23日から10月26日にかけて東京藝術大学「シルクロード特別企画展」を開催し、現在テロリズムや環境破壊、経済危機などさまざまな要因で危機に瀕している文化財を原寸大復元して公開した。高精細デジタル画像を活用しつつ、東京藝術大学が有する最新技術によって岩などに描かれた壁画も質感までほぼ実物大に再現した制作物を展示することで、危機に瀕した貴重な文化財の保護を直観的に分かりやすくアピールし、次世代へ継承する重要性を世界に向けて発信した。同時に、ミャンマー宗教・文化省考古・国立博物館図書館との共同キュレーションを通じ、国際的な文化財保護を担う人材育成を実施した。
- 関連する国/地域
- 日本, ミャンマー
申請団体より
危機に瀕した文化財を未来へ継承するには、「見せないこと」が最良の手段である。しかし適切な公開を怠ると、価値が共有されず、必要な支援を受けられない。東京藝術大学では文化財保護における「保存と公開」のジレンマ解消に向け、オリジナルを保存すると同時にまったく同じクオリティのクローンを展示することで価値を共有する「クローン文化財技術」を開発し、社会実装を目指している。本構想の実現には、さまざまなステークホルダー、特に文化財保有国とのコラボレーションが不可欠である。国際交流基金の助成によって日本(シルクロード特別企画展実行委員会)とミャンマー(宗教・文化省考古・国立博物館図書館)を繋ぐ人材交流が実現されたことは、今後の文化財保護に向けてたいへん意義深い一歩となった。