フィリピンのPETAから2名のアーティストを2016年11月に大学に招へいし、まず、講演「芸術によって人と社会を育てる~PETAの革新的なプロジェクトに学ぶ」とミニワークショップを開催していただいた。それに続き、子どもをもつ親、教育の現場で生徒の指導にあたる人や教員をめざす学生たちを対象に、ポジティブ・ディシプリンの理念に基づいて、PETAの演劇モジュールを体系的に学ぶ2日間のワークショップを実施していただいた。 さらに、大学で英語教育を学ぶ1年生、初等英語教育を専攻する4年ゼミ、「演劇と教育」という授業においてもPETAの活動紹介とミニワークショップを開催していただいた。参加者は小学3年生という想定で、Artsを通して算数(幾何学)を学ぶ体験をした。Artsと「算数」の結びつきがあるのか初めは疑問に思った学生たちも皆生き生きと積極的に参加し、Artsがいわゆる学校の特定の教科を越えた学びになることへの気づきが大きかった。 また、前年度同様、近隣の公立小学校でワークショップを実施。今回は小学4年生が「2分の1成人式」という行事を迎えるにあたり、自尊心、協働的に学ぶ心を養うというねらいが学校側にあり、それに即した内容のワークショップで、4年生全員に参加してもらい教員にも子どもたちにも大変好評であった。事業体験を通して「芸術(演劇)教育による子どもたちのエンパワーメント」という本事業のテーマへの理解を、更に深めることができた。
Achievements of FY 2015 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/en/grant/cc1521/
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- Philippines Educational Theatre Association (PETA)
From the Organizer
2016年11月にはCris Anthony C. Gonzales, Ada Maris S. Tayaoの2名のアーティストを大学に招へいし、ARTS Zone Projectの柱となるポジティブ・ディシプリンの理念に基づいて、 PETAの演劇モジュールを体系的に学ぶteacher’s training, trainer’s trainingをめざす2日間の集中ワークショップは、本事業の申請責任者にとっても、PETAのこと、ポジティブ・ディシプリンのことを、からだ・声、絵・文字といった媒体をとおして仲間とやりとりしながら、笑いのなかでこころをひらき、からだもひらく、深い学びとなった。 また、前年度同様、地域の小学校でワークショップをしていただき、子どもたちが自尊心と協働的に学ぶ心を育むArtsの力の大きさ、ファシリテーターの能力の高さとファシリテーター二人の豊富なArtsの経験から来る表現の幅と奥行き、柔軟性にも触れ、教師のあるべき姿を学ばせていただいた。 本事業の実施責任者の現在のドラマ教育の考え方やワークショップの進め方は、この2年間のPETAとの協働事業によっても培われたところが大きい。『異文化理解ワークショップ 〈トム・ソーヤ〉を遊ぶ―楽しく創造的な学びをめざして』(武田富美子・吉田真理子編著 晩成書房、2019年)にもこの2年間の事業の成果が表れている。本著のコラム5「PETA(フィリピン演劇教育協会)」で、本助成事業についても記載させていただいている。