2019年1月22日〜2月1日の10日間にわたり、フィリピン共和国バターン州でデザイナーズ・イン・レジデンス形式の文化交流事業を実施した。日本、フィリピンおよびインドネシアの若手デザイナー計7名をバターン州バガック市の地元事業者のもとに派遣し、事業の現場や暮らしの体験、事業者との対話などを通じて「クライアントとデザイナー」を超える関係をつくった上で、事業者や地域が抱える課題解決に資するコミュニケーションデザインを制作した。 報告会をバターンおよびマニラで実施し、地元住民・政府関係者やデザイン関係者へバガック市・バターン州の新たな価値の提案やデザインの持つ可能性について伝えた。 帰国後、東京でも事業の報告会を実施し、当事業についてより多くの人に伝えた。
令和元年度実績 https://grant-fellowship-db.asiawa.jpf.go.jp/ja/grant/pp1923/
- Related Countries
- Japan, Philippines, Indonesia
- Co-organizer(s), Cooperator(s)
- Bellas Artes Projects / Jam Acuzar
- Plus 63 / Dan Matutina & Dang Sering
- Municipality of Bagac / Bebot Galvez
- Amanda’s Marine Products / Armanda Battad
- Bagakeno Cashew Nuts / Don P. Duran & Marivic Duran
From the Organizer
バターン州のような第二次世界大戦の負の歴史を持つ土地で、日本・フィリピンとインドネシアの若者たちがつながり、デザインを通して新たな価値をつくるために協働したこと自体が大きな価値を持つと考えている。枠組みだけでなく、実際の事業においても、参加者やスタッフ、事業者との間にあたたかな関係性が築かれ、「この事業者の事業がより良くなることで、バガック市やバターン州にどんな貢献ができるか」を参加者全員が自分ごととして向き合うことができた。その結果、事業者にも現地パートナーのBellas Artes Projectsにも喜んでもらえるアウトプットをすることができた。 「他所から(海外デザイナーが)来て何かを与える」「(地元事業者が)受け取る」という一方通行の関係性ではなく、デザイナーを含めた日本チームが、バターンの戦争における加害者としての歴史や、戦後の難民キャンプでの貢献など、土地に対する理解を深めたこと、事業者を筆頭に地元のあたたかいホスピタリティを受けたことで、お互いに「与え合う」関係性ができたことは特筆に値する。 報告会では、今後もフィリピンの他都市およびアジアの他の国でこのプログラムを実施したいという声も聞かれ、当プログラムの持つ可能性をより現実的に感じることができた。